脳血管性認知症の再発予防

脳血管性認知症の悪化を防ぐには、脳卒中の再発を防ぐことが何よりも大切で、状態に応じて「塩酸ドネペジル」などの薬をを服用します。 また、脳卒中を起こした人の多くは、その下地となる「高血圧や糖尿病、高脂血症」などの生活習慣病をもっており、これらの病気の治療も欠かせません。 さらに、脳血管性認知症の治療では、薬物療法だけでなく、生活環境も大切です。 まず大切なのは、リハビリテーションをきちんと行なうことです。 また、家族の協力のもと、自分の役割を持つことも大切になります。


脳血管性認知症の予防と治療@

脳卒中の再発を予防し、状態に応じて「塩酸ドネペジル」を併用する

脳血管性認知症の悪化を防ぐには、脳卒中の再発を防ぐことが何よりも大切です。
脳梗塞の場合、脳の血管を詰まらせる血の塊(血栓)ができるのを防ぐ薬を使います。 具体的には、血液を固める作用がある血小板の働きを抑える「抗血小板薬」を服用します。 心原性脳梗塞の原因となる「心房細動」がある人では、「抗凝固薬」で血栓を予防します。 脳出血の場合は、主な原因となる高血圧の治療が特に重要です。

▼抗血小板薬
アスピリン、シロスタゾール、クロピドグレル

▼抗凝固薬
ワルファリン

▼降圧薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬など

生活習慣病の治療が予防につながる

脳卒中を起こした人の多くは、その下地となる「高血圧や糖尿病、高脂血症」などの生活習慣病をもっており、 これらの病気の治療も欠かせません。一部の高血圧や高脂血症の治療薬では、服用していない人に比べ、 服用している人のほうが高い確率で脳卒中の再発が抑えられたという報告もあります。

高血圧
降圧薬を用いる。脳卒中の再発を防ぐ効果も期待できる。
糖尿病
インスリン抵抗性改善薬などを用いる。食事療法や運動療法も並行して行なうことが多い。
高脂血症
スタチンを用いる。長期間服用すると、脳卒中の再発だけでなく、新たな発症の防止も期待できる。

認知機能に対する治療

認知機能に対する治療薬は、現在のところアルツハイマー病の治療に使われる「塩酸ドネペジル」のみです。 (ただしこの薬は、脳血管性認知症の治療に対しては、現在(2007年)、健康保険が適用されません。) ただ、最近の調査で、脳血管性認知症の患者のうち約3割が、アルツハイマー病を合併していることがわかってきました。 この場合、アルツハイマー病によって、認知機能の症状がさらに悪化している可能性があります。
従来は、アルツハイマー病と脳血管性認知症をまったく別の病気と考え、 診断では二者択一でどちらかに決めるのが一般的でした。 しかし、脳血管性認知症もアルツハイマー病も高齢者に多い病気で、 脳血管性認知症を発症した人がもともとアルツハイマー病を持っていたということも十分にあります。 このような場合には、早期から塩酸ドネペジルを用いることが、認知機能の改善に有効なのではないか、 と考えられるようになってきています。


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家族の協力のもと、自分の役割を持つことが大切

脳血管性認知症の治療では、薬物療法だけでなく、生活環境も大切です。 まず大切なのは、リハビリテーションをきちんと行なうことです。 できるだけ自分で歩いたり、地域のリハビリテーション施設などを利用して、活動の場を広げましょう。
さらに、家の中では自分の役割を持つことも大切です。たとえ不自由さが残っても、何でも他人に任せず、 自分にできることは自分でしましょう。周りの人と会話をしたり、買い物のときに自分で代金を払うなど、 人と接する機会を増やすことも、大切なリハビリテーションです。 そのためにも、周囲の人は”助けすぎない”ようにしてください。 時間がかかっても、患者がなるべく自分でできるように見守りましょう。